簡単便利なキッチン商品  紹介・販売    keys

材料の紹介から、素材、調理方法などを紹介。さらにキッチンでとても便利なキッチングッズ・キッチン器具機器を紹介するページです

動物性の脂を扱うと料理上手になる!! レシピではなく、おいしく仕上げる為の ”コツ”

f:id:keyk1963:20190501165307j:plain

 

脂という漢字を使う場合、一般的には動物性のものから取るものをさす場合が多いですが、文献によると約15~25度の温度で液体なら油、固体なら脂と使い分けているそうです。「あぶらがのってうまい」とよく耳にしますが、この場合のあぶらはこちらの脂、見ると右側は旨いという漢字を使っており、脂の漢字の語源からは、「あぶらがのってうまい」との意味合いで脂という漢字になったのだそうです。しかしながらこの「あぶらがのってうまい」は日本では魚の場合に使うことが多く、魚から抽出するあぶらは約15~25度でも液体で、ほとんどが固まることはありません。なので定義から言えば、魚の場合のあぶらは油になりますね。おかしな話です。

さてそんなことはさておき、一般的に使われる脂(動物性)に対して、私が今まで感じた事をお話します。

動物性の脂=肉の脂と考えてお話します。皆さんもご存知の通り、一番有名な肉の脂はやはり、和牛のさしの脂ではないでしょうか、この和牛の脂、確かに香りがよく、肉を焼いたときの匂いはなんともいえません。この焼いているときの香りの成分はほとんどが肉の脂からと思っていただいてもかまいません。30数年ほど前、当時おいしいハンバーグ屋さんは、ミンチの中にこの和牛の脂を混ぜ込んで、ハンバーグを作っていました(当時は企業秘密でした)。事件もありました、外国産の肉に和牛の脂を差し込んで和牛として販売、表示偽装でした。

今でも格安で手に入る和牛の脂(ケンネ脂が主体で、牛の腎臓の周りにある大きな脂)は、数十年前なら無料で業者からいただいていました。実は私もその一人で、ラーメン店を営んでいるとき、乳化に使用していました。ハンバーグ同様、豚肉との相性がよく、スープのコクを深める為に使用していました。今では、ラーメン店でも使われているようでけっこうな値段で取り引きされています。  

ではその脂(牛肉だけでなく動物の脂全体的に)を私なりに特徴を説明します。

長所

◎どの脂も旨みを持っており、香りが豊富

◎焼いて抽出した脂は香ばしい香りになる

◎蒸して又は水でゆでて抽出した脂は粘度があり、甘みを感じる脂になるが香りは控えめになる

◎匂いを吸収しやすいので他の香りを添加して新たな脂に変えやすい

◎肉料理を作るときに、それぞれの脂を好みで加えると旨みが増す

◎冷やすと固まり、人間の体温でも解けるので、前菜の冷製料理に混ぜ込んで使用すると、コクを出すことが可能

欠点・注意点

◎なんといっても酸化・老化が早いので抽出したらすぐ使うよう心がける。

◎腐ると手のつけられないほどの匂いに変わる

 

などです。

特徴を挙げましたが、その前に脂にも部位によって味の違い・成分の違いがあります。ケンネ脂・背脂・腹脂などが代表になりますが、まだまだ研究が必要だと感じます。

昔こんなことがありました。夏場です、ラーメン店を営んでいたとき、豚の骨主体の白湯スープ(とんこつスープ)を使用していたのですが、ある日それを常温で冷ましている際、冷めている途中で(時間で2~3時間でしょうか)何かいつもと違う香りがするのでおかしいなと感じて、改めて味見してみると臭い匂いの味がします。そうです、冷める途中で腐っていたのです。このときは本当に動物性脂(特に豚)のあしの速さに驚いたものです。次のときからは水にさらし、混ぜながら短時間で冷ますように切り替えました。苦い経験でした。

もうひとつ、熟成肉を自社で作成していたときの苦戦です。かれこれ10数年前になります。特注の熟成庫(マイナスにもなる冷蔵庫にファンを付け庫内に常に風を送る)を業者に作成していただき、その中で数日から数ヶ月、肉の塊を吊るし、冷たい風をずっと当てていきます。すると肉自体が熟成することにより旨みとコクが増し、その肉をステーキにしたり、炭焼きにして食します。とてもおいしいコクと深みのお肉が食べられます。

ただ、ここでもむずかしいのは、先にあげた脂の老化です。いくら腐らなくても老化は避けられず、熟成肉は和牛肉にはもってのほかで、外国産の肉が主流、それも赤身が多い肉です。しかし赤身の部分の肉よりこの脂身の部分をどう扱うかが問題です。理想を言えば、脂と赤身を分けてはずし「脂は熟成せず、赤身はじっくり熟成」これが一番おいしくなると思います、しかし現実には無理になります。この時に私が感じたのは、和牛という存在がある日本ではコスパの面で熟成肉を行うにはリスクが高すぎる。ということです。ただ、熟成という方法はとてもすばらしく、肉ではない食材(たとえば大きな魚など)で、研究を重ねて行えばすばらしいアイデアと味が生まれるのではないでしょうか、と思うくらいです。

 

作りたてを即座に使用するよう心がければ、動物性脂はいろいろなものに使用できます。

今まで私が行ったおいしかったものをご紹介します

白身の魚をムニエルなどにするとき、牛脂を使って焼けば深いコクが出る。

◎シーザードレッシングに牛脂の溶かしたものを混ぜ込めば、ハムサラダ・チキンサラダなどに最高

◎クッキーなどを焼くときバターに牛脂を混ぜ込み、焼き上げると風味。コクが良くなる

◎タルタルソースにジー油(鶏脂)を混ぜ込み、南蛮揚げ・ローストチキンのソースに使うとうまくなる

◎牛脂を燻製にしてハンバーグに混ぜるとレストランの味を上回る

◎牛脂で豚肉のコンフィ(脂煮)を作ると抜群にうまくなる

◎とんこつラーメンを初め、あたたかい麺類に牛脂を浮かべると上品なコクになる

など

まだまだたくさんありますが。特にコク・風味を深めるときに使用するのが良いです。

いかがでしょうか?みなさんも機会があればぜひやってみてください。料理上手になることまちがいなしです。

 f:id:keyk1963:20190501165326j:plain

 

追伸

ちなみに昨今でもスーパーの牛肉コーナーへ行けば無料で牛脂が置いてあります、ありがたいことに小さくカットして袋ずめにしてくれています、それをいろいろな料理に使用しない手はないです。(あくまでも腎臓の周りの脂です、内臓臭い場合がありますので気をつけてください。持って帰ったら即座に冷凍をお勧めします)